サーブアジア(短期宣教)に参加して 菊田愛佳(東京武蔵野福音自由教会 信徒)
私はタイのチェンマイで2022年9月から約3か月QUEST(クエスト、探求)というチームでサーブアジアワーカーとして奉仕してきました。このチームではTCK(*)のためのプログラムをOMFのカンファレンスで行ったり、チェンマイ近郊の宣教師家庭のホームスクーリングのサポートをメインに行ったりしました。
■サーブアジアに行くきっかけとTCK
私がサーブアジアに参加することを決断したきっかけは、就職をする前の大学生の間に、神様のために主体的に、また積極的に時間を使いたいという思いが与えられたことでした。1年間大学を休学することを決めた私に、教会とKGKを通して知り合ったOMFの宣教師の方がサーブアジアを勧めてくださいました。実際にサーブアジアを経験してTCKがケアされる必要を強く感じました。
TCK(ここでは多くが宣教師の子ども)は両親の国の文化でもなく、今生活している地の文化でもなく、第三文化のなかで育ちます。彼らの人生は極めてユニークなものです。成長するにつれて、自らのアイデンティティ、自分と同じ経験をしている人が自分以外にいないこと、大学進学のためにパスポートの国へいくことを見据えた不安など、1つの国で育った私が経験することのなかった課題に直面し葛藤します。神様が両親に与えた召しのゆえに彼らはその場所で育っていますが、両親が宣教師であるために犠牲になった『自分』ではなく、両親への召しを共に受けた『自分』として、その遣わされた場所で喜んで生きていってほしいと願います。そのためには、彼らを特別に気にかける『誰か』が必要であると強く思うのです。
■TCKをケアすること
カンファレンスで出会った一人の少女は、前回のホームアサイメント(一時帰国)から帰ってきて以来、自分がタイに住んでいることや両親の働きに対して不満が募っていた、と言います。普段はチャイルドケアのなかったカンファレンスでしたが、今回は私たちが呼ばれて子どものプログラムをしました。そこで彼女の話を聞いたり、私の経験した日本での学校生活を話したりしました。それを通して、彼女は自分がこの場所で誰かに『気にかけられている』と実感し、両親もこのように誰かを気にかけているのだと気がついたようです。後日、以前よりも彼女の態度が少し柔らかくなったとご両親が話してくださいました。
TCKはケアされる必要がありますが、過剰に特別扱いされる必要はありません。彼らが自分の人生のユニークさも全知全能の主の御手の中にあるものだ、と受け取れるようになってほしいと思うのです。

カンファレンスにて聖書の話を聞く子どもたち
■リーダーに従うことと謙遜であること
神の立てるリーダーに従うことと謙遜であることも、この3か月の中で与えられた大切な気づきでした。私は日本ではリーダーとして奉仕する機会が多くありましたが、自分の周りには常によきサポートをしてくれる友がいました。タイに行って自分の直面する不自由さの中で、神様が既にその場所に立ててくださっているリーダーの方に従うフォロワーシップ(従う者としてのあり方)を学びました。もしかしたら私の方がいい考えがあるかもしれない、もしかしたら自分とは異なる方法を提示されて不自由さや少しの苛立ちを感じるかもしれない。でも、その人が主に知恵を求めた結果がその決断なのだと信頼して、その方法で主に仕えることができるようにと祈るのです。これは仕方ないと諦めて妥協するということではなく、自分自身をそのチームの中で、コミュニティの中で用いてくださいと謙ることなのだと。私たちがチームの中心なのではなく、神様がこの働きの中心であることを思い起こし続けることなのだと。
また、私の『普通』とは違う生活をしてきたチームのメンバーの生活に対して、ふと不満が募る時に、私の愛はどれだけ小さなものなのかと思い知るのでした。私たちに共通点は何もないかもしれない。しかし、同じ神を信じていること以外に私たちを繋ぎ止めることのできるものなどないと日毎に感じるのでした。そして私の愛はなんと小さく、周りを愛することはできない、しかし、主よあなたの愛を私に教えてください、あなたの愛が私を通して示されますようにという祈りへ変えられていくのでした。
私のこのチェンマイでの3か月はすべて神様が私に見せてくださった御業であることを確信し感謝しています。また、離れた日本から祈りを持って支えてくださったお一人お一人に感謝いたします。QUESTというプログラムは私たちが一期目で、まだ始まったばかりです。どうかこのTCKをサポートするチームが大いに用いられますように、サーブアジアワーカーが起こされ続けますようにお祈りいただけたら幸いです。

人々の憩いの場であるチェンマイ大学の湖
(*)TCK=Third Culture Kidsとは「両親の生まれた国の文化を第一文化、現在生活している国の文化を第二文化とし、この2つの文化の狭間で、そのどちらの文化にも属することなく、独自の生活文化を創造していく子どもたち」のことを言います。(8ページで紹介しているTCK祈りのガイドブックの「はじめに」より抜粋)
《サーブアジアプログラムとは》
サーブアジアとはアジアに仕えるの意味で、宣教地の働きを直接体験することによって、神様の世界宣教のビジョンを知り、それに参与するプログラムです。期間は1週間から1年までです。多くの人が短期宣教を通して神様の語りかけを聞き、人生の大きな転換を経験しました。あなたも参加してみませんか?関心のある方は事務局 (hc@omf.or.jp)までご連絡ください。
【祈りのリクエスト】
・ タイでのTCKケアプログラム(QUEST)に続けてサーブアジアのワーカーが与えられるように。
・ さらに日本からサーブアジア(短期宣教)プログラムに参加する方々が起こされていくように。
・ 今年4月からパートタイムで主に短期宣教のコーディネーターの働きを担われる片山晴奈さんのために。