マーケットプレイス・ミニストリー 最後の未開拓の分野に向かって ーカナダ 特別プロジェクト担当主事 ジミー・チャオ師ー
■職場でのミニストリー
職場でのミニストリーは、マーケットプレイス・ミニストリーと呼ばれています。世界的に大都市化が進む中、この働きは宣教における最後の未開拓分野の一つと言われます。
マーケットプレイス・ミニストリーを考える時、いくつかの鍵となる言葉があります。マーケットプレイスの働き人、テントメーカー、そして宣教的ビジネスの実践者です。彼らは皆何らかの形でマーケットプレイスに関わっていますが、それぞれその働きの焦点と範囲が違います。
マーケットプレイスの働き人たちは自分の職場を宣教の場とし、そこには同僚や顧客がいます。時に、これは職業的召命と言われます。彼らは、教会が世の光、地の塩として証しすべき、さまざまな職種の人々へ届くことができます。そして神は、職場での証しのために、教育や機会を彼らに備えてくださるのです。

OMFと協力してカフェ経営をしている夫妻
テントメーカーたちは自分たちの仕事を、ミニストリーを経済的に支える手段と考えます。この「テントメーカー」という言葉は、使徒パウロが一時期自身の宣教の働きを支えるために天幕(テント)作りをしたことから来ています(使徒18・1~4、20・33~35)。実際には、職業をもって働くクリスチャンたちは、職場の中でも外でもミニストリーをすることができます。
一方、宣教的ビジネスとは、神の国のために人々へ強い影響を与えるという目的で行われる働きです。それはビジネスとして成立するために利益を上げ、持続可能なものでなければなりません。現地の人々に仕事を提供し、地域の経済と発展に貢献し、よい証しを立てるなどの可能性があります。OMFでの例としては、カフェや英語学校、コンサルタント会社の経営などがあります。
宣教的ビジネスを行っているある人はこう言いました。「教会のほとんどの人は仕事を持つことができますが、起業しそれを成功させられる人はごくわずかです。」最近開催されたBAM(宣教としてのビジネス)の会議によると、起業家の数は教会の中の6%です。また、赴任先の文化の中で新しくビジネスを始めることと、その異文化の中で政府の規制や商いの習慣、現地の市場を考慮して新しいビジネスを成功させるということは、全く別の課題なのです
■マーケットプレイス・ミニストリーの必要
世界中で大都市化が進む中、私たちの宣教戦略も人々の移動を反映したものであるべきでしょう。もはや、ある人々のグループが決まった地域内に留まり続けることはなくなってきています。世界は都市や商業の中心地に向かって移動しているのです。中国では、2030年までに10億人が都市に住むと予測されています。かつて農村部にいた未伝の人々は、より良い仕事と生活の質の高さを求めて都市部に移り住んでいます。もし、彼らが地域の教会に参加していないとしたら、教会が彼らの職場に入っていくことはできないでしょうか?
私たちの地元の職場はどうでしょうか?私たちの同僚がどこの出身か、彼らの伝統や出身地、そして福音に触れる機会の少ない国から来たのかどうかなどを考えてみてください。私たちにはその職場に置かれている目的があるのです。
■4つのA
「教会」を表現する一つの方法として、「4つのA」というものがあります。
アッセンブリ(Assembly)―地域教会。エイジェンシー(Agency)―宣教団体。アカデミー(Academy)―神学校、聖書訓練センター。アゴラ(Agora)―ギリシア語で公の市場を意味し、職場やその他の公共の場を表す言葉。
これらは世界宣教のためにどのように連携しているのでしょうか?最初の3つ、すなわち地域教会、宣教団体、神学校の関係を説明するのは、かなり簡単だと思います。しかし、アゴラはどうでしょうか?私たちが最も長い時間を過ごす場所です。教会はアゴラにどのように関わることができるのでしょうか?4つのAの相互関係はマーケットプレイス・ミニストリーにどんな影響を与えられるのでしょうか?
●牧師は、信徒の職場の状況をより良く理解し、説教や働きのあり方に生かすために、他の仕事も持つことを考えられないでしょうか?
●教会は、海外での仕事に赴任し、マーケットプレイス・ミニストリーに携わろうとしている人のために、宣教師と同じように派遣集会をもてないでしょうか?
●宣教団体は、マーケットプレイス・ミニストリーを宣教の未開拓分野として、この分野に働き手を送り始める(または送り続ける)ことができないでしょうか?
●神学校は、マーケットプレイスの働き人や宣教的ビジネスの実践者が、それぞれの環境でより良い証人となるために、訓練コースを提供できないでしょうか?
このいくつかはすでに実践されていますが、教会でマーケットプレイスがより注目され、私たちの宣教戦略が変化していく中で、これらのことがさらに行われていくのではないでしょうか。
多くの若者たちは、卒業や就職の際に、神が自分の職業をどのように神の目的のために用いてくださるかと考えます。マーケットプレイス・ミニストリーは、大宣教命令を実現するための有効な方法です。私たちは、広くキリスト教会がこの宣教の未開拓分野を中心に団結し、神の栄光のために働き手を支援し、備え、派遣することができるように願います。現在進行中ですが、OMFは東アジアにおけるマーケットプレイス・ミニストリーのための機会を構築しています。関心のある方はお問い合わせください。
【祈りのリクエスト】
■マーケットプレイス・ミニストリーの概念が、教会によく理解されるように。
■マーケットプレイス・ミニストリーの働き人として召しを受ける人が起こされるように。