世界の基が据えられる前から タイ ミェン族 有澤達朗・たまみ

今年も日本は厳しい災害に見舞われました。そんな中でさえ国外宣教のためお祈りくださったことを心から感謝いたします。こちらも激しい霊的闘いの一年でした。

MSさんのためお祈りくださった方々は、「釈然としない結末」だったと感じておられるでしょう。好きな賛美歌、暗唱した聖句、「イェス様、あなたは私の救い主です」との告白、「洗礼を受けたい」との願い。これら全ての記憶が今は全くありません。

「あれは何だったのか」と思う反面、私は確信を深めたことがあります。「選び・予定の教理」です。その要約はこうです。「神は全くの御好意によって、永遠の昔から、ある人々を永遠の命に選んでおられたので、彼らと恵みの契約を結ばれました。それは、ひとりのあがない主によって、彼らを罪と悲惨の状態から救助して、救いの状態に入れるためです」(『ウェストミンスター小教理』問二〇の答え。宇田進訳)。

MSさんの中にいる悪霊が、戦慄し、絶叫して出て行く原因は、聖書朗読、賛美歌の中の聖句、祈りで引用する聖句だったことを、今年の『宣教ニュース』四月号、七月号でお伝えしました。特に悪霊を逆上させ、苦しめる聖書は『エペソ書』一章でした。「天上にあるすべての霊的祝福」「神は、世界の基が据えられる前から、この方にあって私たちを選び、御前に聖なる、傷のない者にしようとされた」「神は、みこころの良しとするところにしたがって、私たちをイエス・キリストによってご自分の子にしようと、愛をもってあらかじめ定めておられました」。

悪霊がMSさんの口を通して「俺が先にこいつに手をつけた」とうそぶく。私たち奉仕者は「違う。天地創造以前から神がMSさんをキリストにあって子にしようとあらかじめ定めていた」と宣言する。この激論を繰り返し、悪霊は去って行きました。その後MSさんは約三ヵ月、聖書を学び、子供を伴い礼拝に喜んで出席しました。ところが洗礼準備を始めた途端、彼女の口から「こいつはまだ(イエスを)信じていない。こいつは俺のものだ」という声が噴出。五月、第二次攻撃の始まりでした。

本人は洗礼を願っているので、パレー村教会ゲストハウスで聖書の学びを続けました。聖書を喜んで学んでいる最中に、悪霊がMSさんに、咬みつき行動や刃物を握る行動を起こさせます。それらを制御する助けを、一月と二月は牧師、伝道師たちがしてくれましたが、もう疲れ果て、村まで来てくれません。代わりにパレー村教会アサン君、中腹のニコム村教会の青年たち、谷を越えた別の山のラオスィップ村の青年たちが来て徹夜の番をしてくれました。何と未信者の女子高校生ニンさんも手伝いに。

彼女はMSさんの髪を三つ編みにしてあげようと、落ち着いている時を見計らって教会ゲストハウスに来てくれました。長髪で暴れ、汗だくになって咬みつき行動を始めると、助ける側が制御しにくいのに気が付いたのです。髪の処置が済み、ニンさんは玄関前の椅子に腰かけ、私に話し始めました。

「昨晩(MSさんに読み聞かせた)『エペソ』一章を、帰宅してから自分でも声を出して読みました。誰かがすぐそばにいるようで、心が不思議と暖かくなるのを感じました。神様を信じたいと心から思った。これって、何でしょう?」。

その場で私は『ヨハネ』一章十二節を開いて読ませました。突然、MSさんが怒った様子で立ち上がり部屋に閉じこもり叫び始めました。ドアを閉めて大声で「サタンよ、立ち去れ」と命じています。ドアの前でたまみとアサン君が、MSさんがイエス様に頼り、抵抗して悪霊を退けるようにと、強い口調で祈ります。一方私は四メートル離れた所で、ニンさんの信仰告白の祈りを導いています。罪の告白、キリストの十字架の御業に信頼する祈り、救い主としてのイエス様に従う決心、神様に生涯従う約束を、ニンさんは祈りました。『ローマ』十章九~十節を開き、信仰の告白に基づく救いの確認をし、感謝の祈りを私が祈っている間、ニンさんは喜び涙をいっぱい流して主に感謝しています。部屋の中では、悪霊の攻撃を受け悶えながら助けを求め祈るMSさん、部屋のドアの前では、それを援助して二人が熱烈、断々乎として祈る。

別件の激しい霊的攻防のさ中に、一人のたましいが純粋な信仰告白へと導かれるとは。イエス様は言われました。「わたしはわたしのものを知っており、わたしのものは、わたしを知っています。[…]その羊たちはわたしの声に聞き従います」。イエス様があらかじめ知っておられる羊は、イエス様のことばを聞くとそれだと分かり、応答して救われる。これが「選び・予定の教理」です。ニンさんが選ばれ、MSさんは選ばれていなかったというのではありません。誰が選ばれていて、誰が選ばれていないか、私たちは分かりません。私たちのすべきことは、神のことばを神のことばとして伝えること。パレー村教会、アサン君の祖母ゴイグエイ姉は、MSさんも必ず戻って来ると信じて、人々に「祈りましょう」と言っています。

【祈りの課題】
1.パレー村教会のアサン君がふさわしい時に、願わくは年明け2か月くらいの内に、バプテスマを受けることができますように。また高校最終学年のニンさんが、就職する前に信仰の確認の学びをすることができますように。
2.教会懲戒の下にあるJN 牧師に真の悔い改めが与えられますように。彼の代わりに交代で礼拝説教のために出向く牧師たちが良いアドバイスをすることができますように。この教会が戒規と懲戒の聖書的意味を理解するように祈ってください。

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